津地方裁判所 平成8年(行ウ)9号 判決 2000年7月27日
原告
笘谷侑佑(X)(ほか43名)
上記訴訟代理人弁護士
村田正人
同
石坂俊雄
同
福井正明
同
伊藤誠基
被告
三重県知事 北川正恭
上記訴訟代理人弁護士
坪井俊輔
上記指定代理人
大西春暢
同
位田紘二
同
森田由之
同
伊藤滋康
同
坂井清
同
市川哲也
同
塩津博生
同
足達秀之
被告
(三重県知事) 北川正恭(Y1)
同
(同県土木事務所長) 吉川清(Y2)
同
(同県出納監) 舟田博治(Y3)
上記3名訴訟代理人弁護士
楠井嘉行
被告
株式会社セルフ舎建設(Y4)
上記代表者代表取締役
小倉勝治
被告
小倉勝治(Y5)
上記両名訴訟代理人弁護士
阪口徳雄
主文
一 原告らの請求をいずれも棄却する。
二 訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
第三 当裁判所の判断
一 被告知事の本案前の主張について
1 被告知事は、地方自治法242条1項の「財産」には、地方公共団体が公金を支出したことによって生じた損害賠償請求権は含まれないと主張するが、第三者の不法行為によって発生した損害賠償請求権は単なる公金支出の誤りから生じた請求権とは異なるとともに、地方公共団体が第三者に対して有するこのような損害賠償請求権も財産的価値を有することに変わりはなく、これを地方自治法242条の「財産」から除外する理由は乏しいというべきであるから、被告知事の右主張は失当である。
2 被告知事は、同一の事項について地方自治法242条の2第1項3号請求と同項4号請求とが競合している場合には、4号請求が優先すると解されるから、3号請求に関しては訴えの利益を欠くと主張する。しかしながら、地方自治法242条の2第1項各号に定められた各請求について、同法は、その優先順位を何ら定めていないし、複数の請求を許さないとする規定もない。また、地方公共団体が、その財産管理を違法に怠っている場合(あるいは違法な財務会計行為を行った場合)に、それを是正する手段として4号請求と3号請求のいずれが有効・適切であるかは個々の事案によって異なるのであって、4号請求が抜本的であると一概にいうことはできない。したがって、同一の怠る事実(あるいは財務会計行為)について、3号請求と4号請求の双方が成り立つときには、いずれの請求によるか、あるいは双方の請求を行うかは原告らの意思に委ねられているというべきであるから、このような場合に、3号請求が訴えの利益を欠くと解するのは相当ではない。よって、被告知事の右主張は失当である。
二 本案について
1 本件に関する事実経緯
前記前提となる事実及び〔証拠略〕によれば、以下の事実が認められる。
(一) 被告セルフ舎は、又口川の河川区域(三重県尾鷲市大字南浦字川ノ奥矢所、尾鷲市と海山町との境界付近)の南側に産業廃棄物処理施設用地を有するところ、平成4年ころから平成7年ころまでの間に、右河川区域内を含む地域に、流水方向に平行に、長さ約百数十メートルにわたって土手又は石積を造り、その陸地側の土地を掘削し、そこに建築廃材、古タイヤ等の産業廃棄物を埋め、表面に盛土をし(以下右区域を「本件埋立区域」という。)、右施設用地に接続させた。
(二) 三重県尾鷲保健所長は、平成6年12月16日、尾鷲土木事務所長に対し、被告セルフ舎が本件河川区域付近で建設・操業を予定していた前記産業廃棄物処理施設の事業計画書について、意見照会を行った。
これに対し、尾鷲土木事務所長は、同月22日、<1>国道425号線及び又口川を含めた現況平面図を作成し、開発予定区域が道路及び河川に接する場合は、境界確認をすること、<2>井戸を掘って取水する場合は、河川区域から50メートル離れた場所に設置すること、などと回答した。
(三) 尾鷲保健所長は、右回答を受けて、平成7年1月19日、被告セルフ舎に対し、右の事項を含む35項目を、産業廃棄物処理指導要綱に基づく事前協議会の指示事項として通知したところ、被告セルフ舎は、右の35項目について、関係機関と協議の上、いずれも問題は生じないとして、その協議結果について、同年4月7日、書面で尾鷲保健所長に報告した。
(四) このような状況の中で、海山町長は、平成7年6月7日、被告知事に対し、前記(二)の被告セルフ舎の産業廃棄物処理施設の設置場所の変更を指導することを要望する旨の要望書を提出した。右要望書においては、本件区域が設置場所として適当でない理由として、5つの事由を挙げているが、このうちの1つとして、右要望書には、「処理施設の設置計画地の法じりを保護している埋立地は、河川の流勢及び航空写真、更に地元に詳しい人の意見等から判断して、県の管轄する河川の領域に入り込んでいる恐れがあり、このことが将来災害をひきおこし、人命の危険性につながるものと予想されること」などと記載されていた。
(五) 尾鷲土木事務所長は、右要望書に基づき検討した結果、本件埋立区域が河川区域に入り込んでいると判断し、同年7月18日、同事務所所長室において、被告セルフ舎の担当者と面会し、本件区域における埋立が河川法27条1項に違反するので、盛土を撤去し原状回復するよう要請したが、被告セルフ舎の担当者は、盛土については三重県職員に区域を決めてもらい、その指示で行ったものであるから、その撤去及び原状回復については承服できない旨述べ、右要請に応じなかった。
(六) さらに、尾鷲土木事務所長は、同月20日、被告セルフ舎に対し、前記被告セルフ舎の行為が河川法に違反しているとして、同年10月31日までに土砂を撤去し、原状回復するよう書面で指示を出した。右指示に対し、被告セルフ舎は、平成7年8月3日付けの書面によって、右指示どおり土砂を撤去することを確約したが、他方、尾鷲土木事務所長に対し、土砂の撤去に当たって、現地に杭を設置し、河川区域を明示するよう要請した。
(七) 右要請を受けた尾鷲土木事務所長は、河川区域を指定告示した際の付属図面〔証拠略〕を検討したところ、右図面は河川区域を茶色で着色してあるだけで、測量成果が記載されていなかったことから、右河川区域を明示するために測量を行うこととした。
(八) 三重県知事である被告北川は、尾鷲土木事務所長である被告吉川の専決によって、平成7年8月28日、朝日測量との間で、本件測量について、委託料283万2500円で設計業務委託契約を締結した(なお、右委託料額については、平成7年9月29日の朝日測量との変更契約をもって284万8980円に増額された。)。
(九) 原告らは、同年10月9日、尾鷲警察署に対し、被告セルフ舎を、河川法及び廃棄物処理法違反で告発した。被告セルフ舎は、同月21日から25日にかけて、本件埋立区域内に埋め立てられた産業廃棄物等をバックホーで掘り返し、これを撤去した。
(一〇) 朝日測量は、後記認定の方法によって現地を測量し、測量図を作成し、平成7年10月20日、右委託業務を完成したとして、三重県知事に対し、委託業務完成報告書を提出した。
(一一) 三重県土木部検査監室の山口成之検査主幹は、本件測量業務について検査を行い、平成7年10月30日、右業務が完成したことを確認した。
(一二) そして、右確認を受けた被告北川は、三重県知事として、同年11月1日、委託業務料合計284万8980円について支出命令を発し、同月9日、被告舟田は、紀北県民局駐在の出納監として、右委託業務料を朝日測量に支払った。
(一三) 尾鷲土木事務所長は、平成8年6月5日、被告セルフ舎によって本件河川区域内の盛土が撤去され、原状回復が完了したと認め、これを三重県土木部長に報告した。
2 河川管理に関する一般的事項
2級河川の管理は、当該河川の存する都道府県の知事が行うものとされている(河川法10条)。河川区域には、1号地(河川の流水が継続して存する土地及び地形、草木の生茂の状況その他その状況が河川の流水が継続して存する土地に類する状況を呈している土地<河岸の土地を含み、洪水その他異常な天然現象により一時的な当該状況を呈している土地を除く。>)、2号地(河川管理施設の敷地である土地の区域)、3号地(堤外の土地<政令で定めるこれに類する土地及び政令で定める遊水池を含む。>の区域のうち、第1号に掲げる区域と一体として管理を行う必要があるものとして河川管理者が指定した土地)があるが(同法6条1項)、通常、河川区域の指定は、縮尺2500分の1あるいは5000分の1の平面図を用いてその図面に全ての河川区域を着色して(通常茶色を用いる。)、河川区域を図面上において表示している(河川法施行令5条)。また、3号地の指定方法については、「着色した土地の区域のうち、1号地及び2号地以外の土地を3号地に指定する。」という方法が採られている(〔証拠略〕)。
また、河川管理者は、河川の台帳を調製・保管しなければならないものとされているところ(河川法12条1項)、右台帳には図面を添付することとされており(河川法施行令5条)、右図面には付近の地形及び方位が表示された縮尺2500分の1以上の平面図(地形その他の事情により縮尺2500分の1以上とする必要がないと認められる場合においては5000分の1以上の平面図)を用いることとされており、河川現況台帳の添付図面には、河川区域の境界、河川区域内の土地の官有・民有の別、権利関係や、主要な河川管理施設等を記載するものとされている(河川法施行令5条2項)。
3 又口川における河川管理の実状
〔証拠略〕によれば、又口川は、昭和50年11月4日に2級河川に指定告示され(三重県告示第713号)、三重県知事の管理の下におかれることとなったところ、その河川区域を明示するために、尾鷲市及び海山町の森林基本図(昭和42年7月測図、縮尺5000分の1)が告示図面として用いられ、その河川区域の範囲について茶色で着色して告示されることとなり、同図面は尾鷲土木事務所に備え置かれたこと、その後、又口川について河川区域の変更等は行われていないこと、又口川については河川管理台帳の保管・調製は行われていないことが、それぞれ認められる。
4 争点1(被告セルフ舎、同小倉の本件測量費用の支払義務)について
(一) 河川法59条は、「河川の管理に要する費用は、……2級河川に係るものにあっては当該2級河川の存する都道府県の負担とする。」と規定している。右の「河川の管理に要する費用」とは、一般に、河川工事、河川維持修繕などの直接的な費用のみならず、河川区域指定、河川の占使用の許可及び台帳を調整保管するための河川の行政管理に要する費用など、河川管理者が河川の管理権の作用として行う一切の費用であると解される。したがって、河川を保全するため河川区域の境界(必ずしも土地所有権の範囲とは一致しない。)を明示する行為は河川の管理行為に属するというべきであるから、河川管理者はその境界を明示する権限及び義務を有するものと解され、その明示行為には公定的な効力を認めるべきである。そして、河川区域に隣接する私有地の所有者等利害関係人から河川区域の境界の明示を求められたときは、河川管理者はこれに応じなければならない。その費用は河川管理者が負担すべきである。そうであれば、又口川についての本件測量は、河川区域の境界を明示する行為にほかならないから、河川管理者の河川管理事務というべきであって、その費用は三重県が負担すべきものである。
(二) 原告らは、本件測量費用の支出は、被告セルフ舎による不法行為の結果であると主張する。しかしながら、前記のとおり河川管理者は、河川区域の隣地所有者等利害関係人から河川区域の明示を求められたときはこれに応じるべき義務を負うところ、河川管理者である被告知事は、本件河川区域に隣接した私有地の所有者ないし占有者である被告セルフ舎の求めがあれば、河川区域侵害行為の有無にかかわらずその境界明示を行わなければならない関係にあり、その明示行為として本件測量を委託したにすぎないから、本件測量費用が右不法行為と因果関係のある損害であるということはできない。
(三) 原告らは、本件測量費用が、河川法67条における原因者負担の要件に該当するとも主張する。しかしながら、本件測量費用は、同条にいうところの「河川工事に要する費用」に当たらないし、「河川の維持に要する費用」にも当たらないから、原告らの右主張は失当である(「河川の維持に要する費用」とは、その立法経緯からして、水質事故やごみの不法投棄等によって河川の汚損を生ぜしめた場合の清掃費用、ごみの除却費用等を指すと解される。)。
5 争点2(三重県職員の責任)について
(一) 前記前提となるべき事実及び〔証拠略〕によれば、本件測量の方法及びその結果について、以下の事実が認められる。
本件測量に当たって、尾鷲土木事務所は、又口川の告示図面としての河川区域図を基に河川区域を復元することとし、同図面で示された河川区域(原図において茶色で着色されている。)について、朝日測量と協議しつつ測量を行うこととした。朝日測量は、現地で4級基準点8点をトータルステーション(トランシット<転鏡儀>と野帳が、コンピューターでセットされた機械)によって測量し、次に、右基準点からトランシットを用いて地形測量及び平板測量を行って現況平面図を作成した。続いて、右平面図に座標を取り、前記河川区域図における河川区域を、座標読み取り機を用いて、座標入力し、これを図化して復元図を作成した。そして、この測量成果を現地に復元し、右岸側7点について現地に木製の杭を設置した。本件測量において河川区域と非河川区域との境界は、別紙図面(成果図)のR―1、R―2、R―3、R―7、R―4、R―5、R―6の各点を結んだ線とされた。なお、本件測量においては、河川区域図が利用されたのみで、他の図面や航空写真等が参照されたことはなかった。
原告らは、本件測量の結果、右河川区域は、概ね5メートルほど河川側に後退したと主張する。確かに、〔証拠略〕によれば、本件測量に先立って、尾鷲土木事務所が作成した図面(〔証拠略〕)上における河川区域と非河川区域との境界線と、朝日測量の作成にかかる本件測量の成果図(〔証拠略〕)における同境界線とは明らかに一致せず、後者の境界線は、前者のそれと比較して、相当程度河川側に入り込んでいることが認められる。しかしながら、右境界線を記入したという取下げ前被告荒木修が供述するとおり、尾鷲土木事務所が作成した右図面(〔証拠略〕)における右境界線は、河川区域図の写しを合成した図面(〔証拠略〕)における境界線上の数点を、スケールを用いてプロットしたものにすぎず、正確なものではないから、右図面が、更に精度の高い朝日測量作成の成果図(〔証拠略〕)と一致しなかったとしても、そのことをもって、本件測量において、朝日測量が河川区域図を誤って現地に復元し、その結果河川区域が河川側に後退したということはできず、他に右事実を認めるに足りる証拠はない。
以上のとおり、本件測量において、朝日測量が河川区域図に示された河川区域を誤って復元したとはいえないから、不完全、不十分な測量に依拠して公金を支出したという点の違法をいう原告らの主張は、その前提を欠くものである。
仮にそうでないとしても、以下のとおり、本件測量に当たって、尾鷲土木事務所の担当職員に過失は認められない。
(二)(1) 原告らは、尾鷲土木事務所の担当職員が、航空写真、基図以外の地図資料等各種の資料を参考にして河川区域を明らかにすべきであったのに、河川区域図しか参照せずに、朝日測量に測量を行わせた結果、誤った測量をさせたもので、過失がある旨主張する。
しかしながら、河川区域図は、公報によって告示され、それ自体によって河川区域の範囲を定めるという性質を有するものであるから、それによって一義的に定まっているものであり、これに忠実に復元すれば、それで必要かつ十分なのであって、他の資料を用いる必要はないと解される。
もっとも、告示図面によって河川区域とされていない区域が、その後の流水域の変化によって流水域となってしまった場合には、河川管理者としては、河川区域の変更を行うべきであるが、その変更が行われないうちに、いかなる原因によるにせよその地域が再び流水域でなくなったときは、河川管理者は、従前の河川区域をもって現在の河川区域と認定すべきものである。本件においては、本件測量の時点において、従前の河川区域の外側には流水域はなかったから、河川区域の復元に航空写真等を用いる必要はなかったものと解される。
(2) また、原告らは、より精度の高い図面、すなわち平成5年に国道425号線の災害復旧工事が行われた際の1000分の1の図面が現実に存在し、これを用いるべきであるのに、朝日測量は、精度の低い5000分の1の告示図面から本件測量の成果図を作成するなど、測量の基本原則を無視した方法で測量しており、建設省公共測量作業規程240条に違反するなどと主張する。
しかしながら、前記のとおり、告示図面としての河川区域図それ自体が河川区域を確定する性質の図面である以上、それ以外の図面を使用すべき理由はないし、原告らが挙げる国道425号線に関する図面は道路管理を目的とした図面であって、その作成目的が異なるから、これを用いるべき筋合ではない。また、前記2のとおり、河川管理に5000分の1の図面を用いること自体は許容されているし、実質的にみても、河川という非常に長大な自然公物を管理する関係上、5000分の1程度の縮尺の図面を用いるのはやむを得ないと考えられる。そして、前記のとおり、本件河川区域が明記された図面としては右河川区域図が存在するのみである。したがって、本件測量の方法は不当ではない。確かに、「建設省公共測量作業規程解説と運用」の240条の解説部分には、「縮尺の小さい・・・地図をそのまま・・・拡大して、(縮尺の大きい)地図を作成するようなことはしない。」との記載があるが(〔証拠略〕)、同条は地図編集の定義について規定したにすぎないものであって、その方法について何ら定めたものではないから、右解説部分に記載された理が、必ずしも絶対的なものではないのである。したがって、本件のような状況において、前記測量方法を指示した尾鷲土木事務所の担当職員に過失があるとはいえず、原告らの右主張は理由がない。
(3) さらに、原告らは、(前記別紙図面のR―1ないしR―6という)7つの点がプロットされ、それが線で結ばれているだけの本件測量結果では、どの点で従前の河川区域と一致するのか明らかではないから、河川区域を復元したことにはならない旨主張するが、本件においては、測量図面が作成され、現地には右図面で特定された各点に杭の設置がなされているから、河川区域の境界の明示として十分であるから、原告らの右主張についても、これを採用することはできない。
(三) ところで、原告らは、本件測量は、被告セルフ舎の河川敷侵害行為に三重県職員が加功したことを覆い隠したり、被告セルフ舎が河川区域から取水することを容認するために、あえて不十分な測量しか行わなかったもので、その目的において違法であると主張する。
なるほど、尾鷲土木事務所の担当職員が本件埋立に先立って被告セルフ舎に対し河川区域の指示に関して誤った指示をしたことは窺われるものの、その後における本件測量においては、前記認定の事実経緯に照らしても、尾鷲土木事務所の担当職員が、被告セルフ舎による本件埋立行為の違法性を当初から認識していたとは推認できない。しかも、海山町長の前記要望書に記載されていたのは、埋め立てられていたのが産業廃棄物であるという問題ではなく、本件埋立区域が河川区域内に入り込んでいるおそれがあるということであり、尾鷲土木事務所長としては、右指摘を受けて河川法違反行為の是正を目的として本件測量を実施したものであるから、埋め立てられた物が産業廃棄物であることや取水場所の位置は本来無関係であり、これをもって本件測量目的が違法であると推認することは飛躍がある。以上の点に鑑みれば、尾鷲土木事務所長が被告セルフ舎の違法行為を積極的に隠蔽すべき理由は乏しいといわざるを得ず、他に右主張を基礎づけるに足りる証拠はない。
以上によれば、本件測量がその目的において違法であるとする、原告らの右主張を採用することはできない。
第四 結論
以上によれば、原告らの請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担について、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法65条1項本文及び61条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 山川悦男 裁判官 後藤隆 西村康一郎)